木部アク洗いの注意点と施工方法


この写真は、築40年を超えた建物の内部にある
木部です。今回はこのアク汚れを綺麗にしようと
思いますが、最初に木部洗いの要点と注意点を
説明します。

木部のアクとは?
天然木材は経年劣化により素材表面に木材内部から
にじみ出てきた樹液分やアクが、紫外線などにより
濃い飴色のような汚れとなり、このように古ぼけた
すすけたような状態になってしまいます。
このような汚れをクリーニングすることを、業界
用語で「アク洗い」といいます。

木部のアク洗い方法
木部をアク洗いするにはいろいろな方法があります。
苛性ソーダを使ったりスチーム洗浄を行う工法なども
ありますが、業界の中でも最もポピュラーなアク洗い
方法は、過酸化水素をベースにした酸素系漂白剤に
添加剤を混ぜたものを使用してクリーニングする
方法です。

今回アク洗いで使用する製品はこちらです。

マイクロクリーナーステインリムーバー
4L+4L 8,000円(税別)

マイクロクリーナーステインリムーバーは過酸化水素
35%がベースの酸素系漂白溶液で、これに10%の
マイクロクリーナーストロングを添加して使用します。
マイクロクリーナーストロングは残ってもクリーナー
として使えるので無駄になりません。金属へのダメー
ジが一切ないので、ハウスクリーニング業者の方に
アルミサッシの洗浄などでよくご使用いただいて
おります。

木部にフッ酸を使用するリスク
ネットで「木部アク洗い」を検索するとよくわかり
ますが、この酸素系漂白剤によるアク洗いの後に
〇ブライトという劇物であるフッ化水素ベースの
漂白剤を塗布し、木部をより白化させる施工方法が
あります。実はそれを行って大変な事故が起きたのが
こちらの写真です。

わかりにくいので説明をすると、この床の黒御影石の
玄関の上に木が張ってあり、ペンキ屋さんが養生を
せずにアク洗いの後フッ酸を塗ったところ、垂れた
酸により御影石が酸焼けしてしまった状態です。

この酸焼けをした御影石を再研磨し、鏡面再生を
行ったのが弊社です。
施工後の写真はこちらです。



天然木材にフッ酸を使用することで起こる
木への大きなダメージについて

話を戻します。
一枚目の写真の木がフッ酸を使ったフルコースの現状
なのです。私の率直な意見を言わせていただくと、
木がとても不憫でなりません。表層は完全に死んで
しまって老人の皮膚のようです。
劇物のフッ酸を天然木材に使うとこのようになるのは
当たり前なのですが…。

木材の構成成分
木材の成分は主に炭水化物のセルロースと、セルロース
と結合しているリグニンという成分で構成されて
います。リグニンは酸やアルカリには比較的強いの
ですが、セルロースは酸で分解され軟化、そして
劣化し、さらに悪いことにいずれ褐色に変色して
しまいます。
つまり一時的にフッ酸で白くしたところで、木材の
表層が激しく劣化するだけでなく、いずれ化学反応に
より褐色になってしまうのです。

いずれにせよ木部にフッ酸を使用することの弊害と
恐ろしさがだいたいお分かりいただけたかと思います。


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あらゆる素材のメンテナンス  2016/12/06(Tue) 11:44:23
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