酸性洗剤の基礎知識と選び方⑧ ~「混ぜるな危険」を理解する~


私もとても衝撃を受けた出来事だったので
今でもはっきりと覚えていますが、1980年代に一般の主婦の方が
トイレの掃除のためサンポールを使いながらキッチンハイターを混ぜてしまい、
それにより反応したガスを吸引し死亡した痛ましい事故が起きました。
酸性洗剤に塩素系漂白剤を混ぜるとガスが発生して危険であるということは
洗剤に「混ぜるな危険」と大きな文字で印刷してあるので、一般の方であれ
クリーニング業者の方であれその危険性は十分認識していることと思います。
ただし漠然と危険であるという認識と、理屈としてその危険度を認識している
こととは危険さの理解度の深さがまったく違ってきますので、ここでなぜ
酸性洗剤に塩素系漂白剤を混ぜると危険なのかについて、化学式を交えて
説明をしてみます。

塩素系漂白剤に含まれている成分は次亜塩素酸ナトリウムです。
次亜塩素酸ソーダとも呼ばれます。
漂白効果が高いため、カビキラーやキッチンハイター等に主成分として
配合されています。特有のにおいを発し、プール等でよくにおう例のアレです。

次亜塩素酸水という弱酸性の液体と、強アルカリ性の水酸化ナトリウムから
できている液体なのでpHとしてはアルカリ性なのですが、成分バランスが
安定していない状態であるため、酸と反応するとあっという間に
下記のような反応を起こします。

NaCIO(次亜塩素酸ナトリウム)+2HCI(塩酸)
→ NaCI(塩化ナトリウム)+H2O(水)+CI2(塩素ガス)


塩素ガスが有毒なガスです。
これは塩酸を混ぜた化学式ですが、他の無機酸であれ有機酸であれ、
どのような酸でも塩素ガスが発生する確率が高いです。十分気をつけてください。



クリーニング  2017/07/03(Mon) 09:20:52
管理用