酸性洗剤によりムラが出た大理石の復元
お客様から「大理石の床を酸性洗剤で
洗浄したらムラになってしまった」との
ご相談をいただきました。
下の写真をご覧ください。


こちらは、都内マンションのエントランス床で
下駄箱の下部分も酸焼けのムラがあり、
4㎡程度の広さです。

現調でお話を伺ったところ、トイレ洗浄用の
酸性洗剤を薄めて洗浄して綺麗にしている
動画をYouTubeで見て同じように施工された
らしいのですが、洗剤を散布した際の酸焼けが
くっきり目立ってしまいました。

素材は大理石で、石種は「キャメルベージュ」
だと思いますが、大理石へのメンテナンスと
してはタブーな方法になります。
理由は、大理石の主成分は炭酸カルシウム
(CaCO3)であり、酸性の液体を垂らすと
成分が溶けてしまうからです。
そのため、画像のようにツヤが無くなり
ムラが発生してしまいます。

よく比較される御影石は、主成分が
「石英=シリカ(SiO2)」なので、
硬度が高く、酸性洗剤にも強いです。
その特性から、酸性雨に弱い大理石は
屋内床・壁等に施工されることが多く、
御影石は屋外床や壁等に使用される傾向が
あります。

このような状態になった場合、洗剤や
コーティング剤を使用しても復元は不可能です。
解決方法は研磨のみですが、正しい製品と正しい
知識が無いと綺麗に復元することは困難となります。

後日、本施工をということで、ダイヤモンド
パッドによる再研磨で復元を行いました。


【施工方法】
大理石の研磨は最初に何番から磨くかが大事な
ポイントですが、酸性洗剤により表面が溶けて
(荒れて)しまっているので、NCAダイヤパッド
#400
から磨き、酸焼けと合わせて歩行傷(#400
で除去できる程度の深さ)を除去しました。

フロアポリッシャーでも対応できましたが、
小面積でキワの部分まで研磨する必要があり、
ハンドポリッシャーを使用しました。


磨き始めて半分まで#400が終了したところです。
研磨は細かな作業もありますが、単調な作業が
続くため、このように綺麗に除去できていると
仕上がりが楽しみな気持ちで作業ができるので、
モチベーションを保てます。

ハンドポリッシャーを使用する際は、600rpm
(回毎分)程度の速度で、1枚ずつ丁寧に回す
ことで下の番手の傷を除去できます。特に、
研磨で重要な#800や#1500の中間工程の番手を
1枚当たり2セット程度回すと仕上がりが変わって
きます。
水の量は全ての番手で湿らせる程度散布して研磨
し、少なくなったら再度供給する流れで進めて
いきます。

次に、新しく販売を開始した「マイクロ
ポリッシュ T-パッド」の#2(#800相当)
#3(#1500相当)#4(#3000相当)
順に研磨して作業終了です。今回は本磨きの
手前あたりで止めてほしいとのご依頼でした
ので、#3000までの番手までで終了しました。
本施工の所要時間はおよそ3時間半でした。

▼T-3で研磨した状態

▼T-4で研磨した状態


よりツヤを出したい場合は最後にNCAダイヤ
パッド#5000
を入れれば、鏡面に近い状態
まで研磨可能です。

T-パッドは、初心者の方でも抵抗なく研磨が
できる点や、失敗の起こしにくさを追求した
研磨パッドです。

低番手の研磨力が通常のダイヤモンドパッドに
比べて弱いため、深めの歩行傷や酸焼けを除去
したい場合、最初の番手にNCAダイヤパッド
#400
を入れることが重要になります。

また、繊維質の素材にダイヤを練り込んでいる
ことで段差部分も綺麗に磨け、研磨痕が
出にくいので安心して作業できます。



研 磨  2022/06/10(Fri) 11:07:05
管理用